2024年12月9日、多様性包摂共創センター ジェンダー・エクイティ推進オフィスは「#WeChange 女性教員幹部養成プログラム ネットワーキングイベント」を開催しました。福武ラーニングシアターに、学内の様々な部局から、49名の女性教員が集まりました。
概要
東京大学では、2022年度に始動した女性リーダー育成に向けた施策「UTokyo 男女+協働改革#WeChange」の一環として、昨年度より、女性研究者キャリアアップ支援を目的として「女性教員幹部養成コース」を試行実施しています。昨年度に引き続き、今年度も幹部候補の女性教員を対象とした、ネットワークイベントを開催しました。
日時 :
2024年12月9日(月)16:00~20:30
プログラム:
16:00-16:10 開会挨拶・趣旨説明
16:10-16:50 座談会(林香里理事、森初果教授(物性研究所)、本郷恵子教授(史料編纂所))
16:50-17:10 休憩
17:10-19:00 ワールドカフェ形式のディスカッション
19:00-20:30 懇親会・ネットワーキング(自由参加)
レポート
イベントの冒頭では、林香里理事・副学長と、部局長経験者である物性研究所 森初果教授、史料編纂所 本郷恵子教授が、田野井慶太朗 ジェンダー・エクイティ推進オフィス長のモデレートのもと、座談会を行いました。各登壇者からは次のような発言・メッセージがありました。
森:思いがけず所長に選ばれ、腹をくくった。特に、自分が唯一の女性教員であり、次世代に多様な研究者、学生が参画できる環境を整えるためにもジェンダーダイバーシティを推進した。Woman in Physicsという研究交流会を実施したり、議論の末、幅広い物性研究分野を対象に女性限定教員公募を実施した。とても元気な女性の教員が増え、例えば17時に会議終了が提案されて、性別にかかわらず(子どもを保育園等に)お迎えに行く教職員も増えるなど、自由度をもって研究を進める環境整備が進められ、風通しが良くなった。
本郷:研究面で出産・育児があると30代くらいで厳しい時期を迎える。その結果、気力や体力が充実している時に、研究が停滞してしまうことがあると思う。私は、そこを何とか乗り切ったが、還暦をすぎたところで所長職になり、研究に時間が割けなくなると感じた。これから運営や役割を引き受ける方もいるかもしれないが、そうした方々のキャリアに見通しが持てるようになるといいと思う。
林:本学のD&Iについて数人の教員で屋台のラーメン屋のような形からはじめて、今はショップ程度になった。ゆくゆくはそれを路面店にしたい。自分がいなくなってもコンスタントに大学の中でお金やヒトが守られていくというところをやっていきたい。研究は完全に犠牲になったが、この活動によって次の世代に渡せるものを作ることはできるという喜びもある。
その後、ワールドカフェ形式で5人前後のグループでディスカッションを実施。東京大学を良くしていくためのアイディアを話し合いました。途中メンバーを変えて3回話し合いを行い、様々な意見をグループ内で共有したのち、グループごとに話し合われた内容を発表しました。
そこでは、「ダイバーシティ委員会などは女性教員が担当することが多い。誰もが入る委員会にしていくといいのでは」「女子学生がなぜ増えないかといえば、居心地よくないという問題がある」「ロールモデルを見せていく必要があるが、一度研究から離れてもまた戻れるなど、様々な人生あることをアピールできるといい」「日本語が母語ではない構成員向けの発信がもっと必要」など様々な提案が出ました。
その後の懇親会でも議論は尽きないようでした。参加者からは「普段知り合えない先生方とお話しできて有意義でした。女子学生、女性教員を増やす方法についても、自分では気が付かない視点がたくさんあることがわかりました」「正直に申し上げると3時間を空けるのはつらいなあと思っていましたが、実のある楽しい回でした」などの感想が寄せられました。